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石塚左玄が説く夫婦アルカリ論とはどういったことなのか?

これまで幾度なく紹介してきた、「食医石塚左玄の食べ物健康法」もあと二回の投稿で終わりである。終盤の夫婦アルカリ論を紹介するにあたって、前回の投稿から一カ月以上も経過してしまった。なぜなら、夫婦アルカリ論の性質や効果および結果論が書かれた第4章を何度読んでも理解するのが困難であり、またどの部分を抜粋したら読者にこの箇所に興味を持ってもらえるのか、見当がつかなかったからだ。

また、夏場の草刈りに追われ、ゆっくり本を読んだり書いたりする時間が取れず、集中力も欠如していたため、このブログ自体から離れてしまっていた。これからは以前と同じく定期的に投稿してきたい。

さて、本題に戻るが、左玄が説いた夫婦アルカリ論とは何であろうか、そして夫婦アルカリ論を物事を考える上でどのように活用したら良いのだろうか。結論としては、夫婦アルカリ論は難解であるため簡易的に伝えることはできない。各人がよくよく勉強して、理解を深めてほしい。

少しではあるが、以下に夫婦アルカリ論を理解する上でポイントになる部分を列挙していく。

ナトロン塩とカリ塩の化学的性質と効力は直接目に見えるものでないから、比較するのが難しい。これは一般的なことにも当てはまり、人は外見でどちらが良いと判断してしまいがちで、内部の働きまで検討することが少ない。

左玄が活躍していた当時の東洋の医学では、熱性病に対しては、カリ塩が含まれる寒薬を投与し、寒性病に対しては、ナトロン塩が含まれる熱薬を投与するのだが、ヨーロッパには寒性病がないため、熱性病に使う解熱薬はあっても発温薬が無かった。またヨーロッパの医師は、熱性病に対してカリ塩剤がなぜ解熱の効果を持つのかという理由を知らなかったと考えられている。

ナトロン塩とカリ塩の分布については、主にナトロン塩は海側の食べ物に多く含まれていて、カリ塩は山側の食べ物に多く含まれている。空気も同じように海側の空気にはナトロン塩が多く含まれていて、山側の空気にはカリ塩が多く含まれている。

ナトロン塩とカリ塩の性質と効用は、お互いに持ちつ持たれつの関係で、ナトロン塩はカリ塩を制御し、カリ塩はナトロン塩を制御する。この二つの物は、澱粉、脂肪、蛋白質の有機物と一緒になって、ナトロン塩とカリ塩のそれぞれの量および両者の差が適当なバランスを保つことで、人体の保健上、一番大切なものとしての役割を果たしている。

私からの説明は以上である。これ以上紹介してしまうと、第4章の内容を全てを載せてしまうことになるので、興味のある方は自分で調べてほしい。

ナトロン塩とカリ塩の性質が理解できるようになると、昔の家で使われていた釜土がなぜあのような形をしていたのか、保存食を作るのになぜ塩を使うのかが、ナトロン塩とカリ塩の働きから理解できるようになる。また、病気を療養するには海側が良いのか、山側が良いのかということに対しても判断材料を持つことできる。

夫婦アルカリ論は、物事を判断するには、外見だけでなく内部の働きにまで注目することの必要性を示してくれた。食べ物の中には、ごく微量のナトロン塩がカリ塩があり、それが食べ物の性質や食べた人の健康状態に影響を与える。これは食べ物の外面からではわからないことである。左玄はナトロン塩とカリ塩という言葉を用いて、その土地に住むものはその土地に産出される食べ物を頂かなくてはいけない理由を化学的に証明した。つまり、安易に昔の食習慣を捨て、新しく入ってきた欧米の食生活を日本で取り入れることを警鐘したのだ。

欧米風の食事は、見た目が立派で味付けもこってりして良いかもしれないが、私達の健康を保つ上で常食して良いものなのか、よくよく検討すべきではないか。日本人が昔から頂いてきた、米、味噌、醤油、漬物、豆腐などには目に見ない大切な栄養素が含まれていることを再認識し、今一度それらの食べ物の重要性に気付き、各人の食生活を再構築していく必要があると私は考えている。

出典:食べもの健康法(農山漁村文化協会出版、丸山博解題、橋本政憲訳)

9月11日 大箸

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I’m Takafumi

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