以下は、石塚左玄(左玄と略)の食べもの健康法を読んでの感想を示している。
左玄は、人間に最適な食物は穀物であると結論付けた。なぜか。左玄は動物によって歯の形とあごの機能が異なることに注目し、動物は食べ物が最初に通る口の歯とあごの動きに適した食べ物を食べなければならないとした。
虎や犬のような肉食動物の歯はノコギリ歯であって、先がとがり、下あごが横や斜めに動かない。これは、固い骨や肉をかみ砕くのに適しているが、草や穀物を食べるのには適していない。一方で牛、馬のような草食動物の歯は、平歯で、すき間なく生えており、その面は平らで波のような紋があり、下あごは横に斜めによく動く。これは草を噛みこなすには適しているけれども、動物を食べることはできない。
人間の歯の構成は、縁が高く中がくぼみ、隙間なく並んだ臼歯を一番多く持っていて、下あごは前後左右に少し動く。上下の歯が合わさると大小さまざまな粒状の空間ができる。これは穀物の粒を嚙みこなすのに適した形を持っていると考えることができる。以上のことから左玄は人間は穀物を食べる穀食動物だという結論に至った。
私は左玄が提唱した、歯とあごの動きにあった食べ物を食べよという教えを27歳の時に知り、こんな明確なことにそれまで目を向けられなかったのかと自分を悔いた。食べ物はあごの力を使って歯で噛み砕いて食べるのに、自分の歯の形は何の食べ物を食べるのに適しているのかなど考えたことがなかった。それも人間の歯は門歯、犬歯、臼歯があるのにその数と役割にも気にも留めなかった。つまり、食べ物に関しては、旨いものがお腹一杯食べられれば良いとしか捉えていなかったのである。
左玄が言う、人間は穀物を食べるべきだという発想を持って食べ物を見渡してみると、いかに人間が穀物を重要視してきたがわかる。昔の日本では米が貨幣の代わりであったし、主食という言葉はパンやご飯という穀物を示し、副食は、野菜、肉、魚などで主食を補うものとして考えられている。またどこの田舎でも栽培されているのは米である。だから左玄の言う通り自分の食べ物を穀物中心に形成していくのは現代においても誤ったことではないであろうと私は考える。
この本の第一章である、人類は穀食動物なりを読んで改めて穀物の大切さを知った。
出典:食べもの健康法(農山漁村文化協会出版、丸山博解題、橋本政憲訳)
7月17日 大箸








コメントを残す