我が家の朝には暗黙のルールがある。それは、先に台所に立ったものが台所使用権を有し、朝食を作り、後からきたものは掃除か洗濯に回らなければならないというものだ。しかも食事のリクエストは受付不可である。そのため、自分の好きなものを作りたい時は、早く起きて着替え台所に立つことが必須。特に二人で決めているわけではないが、我が家ではこのように朝の家事が回っていく。
私は調理よりも掃除の方が得意なので、少し前までは台所に立ちたいとそれ程強くは思っていなかった。しかし、ある時をきっかけに調理することがより好きになり、今では毎朝、台所の使用権を狙っている。
そのきっかけは、砥石での包丁研ぎを覚えたことである。シャープナーで済ませていた頃は、人参やごぼうの千切りをすると繋がってしまい、包丁の扱いに苦手意識があった。けれども包丁を砥石で研ぐようになってからは、そういった不満は解消されて、野菜を切ることが楽しくなった。研いだ包丁を使うと材料を薄く細く切ることができ、そのような材料は火が通りやすく、切る加熱するの時間が短くなった。包丁を研ぐだけで、調理の行程にこんなにも影響が出るのかと驚いた程である。
私はホームセンターで売っているダイヤモンド砥石という、2,000円前後の砥石の中では安価なものを使っている。その砥石について調べてみると、研磨力が強いが、刃を傷め易いという良し悪しがある。高価な包丁を使ってるわけではない私は、今のところこの砥石で問題無く使用できている。
包丁研ぎを覚えてからは、定期的に包丁を研いでいる。私は包丁研ぎから道具の手入れの重要さを学んだ。私にとっては包丁研ぎは簡単であり、楽しいため、まだやったことのない人にはお勧めしたいくらいである。
そして調理をするのが好きになってからは、台所も常に綺麗にしておきたくなった。整った台所に立つと集中力が増し、調理のアイディアもよく湧いてくる。材料の組み合わせを考えたり、切り方をいつも少し変えたりし、調理することを心から楽しむようになった。だから台所を使い終わった後は次の朝も快適に使えるように掃除をしている。
マクロビオティックでは、台所を「生命の薬局」と呼んでいる。食事は食べる人の心身に影響を及ぼすものであり、その食事を造り出す台所は生命をコントロールする場であると見なしている。そのため、食事を作る人は身なりを整え、台所を綺麗にしておくことを勧める。忙しい現代では厳しすぎて受け入れ難い考えかもしれないが、大切な考えではあると思う。
私が最初に思い浮かぶ台所を綺麗にしている人は、90歳の私の祖母である。年に一回しか会えないが、祖母の家を訪ねた時はいつも台所がピカピカであった。祖母に台所が綺麗であることを伝えると、使った後に拭く以外の特別なことはしていないと言う。流石に高いところには少し埃があるが、手に届くところは汚れがなく、祖母が台所の手入れを定期的にしていることがわかる。
そんな祖母は、10年前に86歳になる夫(私の祖父)を亡くした。祖父は59歳の時に心臓を悪くして26年間闘病した。祖母は、それ以前からそうであったが、病気を機に祖父の食事により気を配った。祖母は祖父のために塩加減に気を付け、三食毎回手作りをした。そんな祖母の献身的な支えもあり、祖父は入院することも多々あったが、最後まで家で元気に穏やかに過ごした。祖母は当時を振り返り「夫のために何でもこしらえた」とよく言う。きっと祖母は夫の健康と長寿を願いながら台所に立ち、そして台所を管理していたのだと思う。祖母はその当時と変わらない台所を今でも綺麗に使い続けている。
私も祖母と同じように何歳になっても台所に立っていたい。そのようなことを考えながら今日の朝、写真撮影のために台所をいつも以上に丁寧に掃除した(汗)

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お知らせ
①食と健康を考える会
4/13(土)11時~13時
場所:阿見町君島地区
畑で満開の菜の花を見ながらの食事会です。
費用:ドネーション
残り4組様募集中です。
➁玄米採食に興味のある方を募集
私がご自宅に訪問し玄米採食の料理を作り、一緒に頂くという企画を考えています。
事業として成り立つ可能性があるのか知りたくモニターになって頂ける方を募集しています。
台所の掃除が必要な場合、8:30開始の12:30調理終わりの予定です。
台所を整える必要がない場合、9:30開始予定です。
費用はモニターのため必要ございません。掃除が必要な場合、掃除代のみお願いします。掃除代は別途ご案内します。
サービスで包丁も研げます。
4月1日
大箸








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