昨年の今頃、小売店向けのマクロビオティックのセミナーを受講した時に、講師である高桑さんから「春になり新しいことをしたいという気持ちが芽生えてきていませんか?」と質問されたことが今でも印象に残っている。
春になり新しいことをしてみたくなるというのは大変共感できることではあるが、なぜそうような気持ちが湧くのであろう。
その答えが丁度昨日から読み始めた写真の本の中に記載されていた。この本は冬の間に買ったものの手を付けずに本棚にしまっていたのだが、昨日思い立って読み始めてみた。
この本の著者は、戦後アメリカでマクロビオティックを広めた久司道夫さんの奥様であるアヴェリーヌ久司さんである。
豪雪地帯に生まれたアヴェリーヌさんは全ての季節に愛着があるが、特に春の始まりが好きだと言う。その理由は、春のおかげで人生で一番落ち込んでいた時に回復できたからである。彼女は、春の野草が雪の中から現れるようなり、木の枝が温かみや淡紫色を帯び、新芽が出てきて、鳥たちが泣き始める情景に心を打たれ元気を取り戻した。彼女はその時の感情を、春の湧き出るエネルギーに触れ、心の中に残っていた冬の氷が溶け始めたと表現している。
アヴェリーヌさんの体験は、人が自然や季節の移り変わりの影響を心身で受けていることを示している。
春に新しいことをしたくなるのも、人に出会いたくなるのも、外に出かけたくなるのも、温かい日の光が差し、日照時間が伸び、緑や花を眺めることができ、鳥の囀りがよく聞こえるようになり、自然と私達の心が躍るようになるからだと思う。
また、野草や春の野菜が採れるようになり、冬の味覚には無かった苦みや青々とした風味のある食べ物を摂り入れることも心身に良い影響を与えているような感じがする。
私も少し前までは思い詰めることが多かったのだが、畑で鳥の鳴き声を聞きながら、菜の花の香りに囲まれて、菜の花に寄るミツバチや冬眠から目覚めた蛙を見ていると不思議と色々なアイディアが出てきて、前向きな気持ちになっていた。これも春のおかげである。
出版
Complere Guide to Macrobiotic Cooking
written by Aveline Kushi and Alex Jack
published by Grand Central Publishing








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